日本小児血液学会雑誌
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重症消化管血栓性微小血管障害改善後に敗血症, 急性呼吸窮迫症候群にて死亡した急性骨髄性白血病幼児例
篠田 邦大鷹尾 明
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2006 年 20 巻 6 号 p. 591-595

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抄録

症例は2歳男児.CNS陽性AML (M2) にてJACLS AML99を施行し終了5カ月後に再発. CR2にてHLA一座不一致の母からBMTを施行.著明な血便 (MAX : 5,000ml/m2/日) を認め, 大腸生検所見, 破砕赤血球出現, t-PAI-1複合体高値等よりTMAと診断FK506をm-PSLに変更, AT等の補充, MAPおよびPCの持続輸血にて徐々に改善し, 約2カ月後血便なく, MAP輸血不要となった.この間, GVHDは皮膚のみI度で, MRSEによる敗血症を繰り返し, TEIC等を長期投与していた.その後解熱し血液培養陰性にてTEICを終了したが, 1週間後に敗血症からARDSとなり急速な経過にて死亡した.本例は重症消化管TMAを合併したにもかかわらず, TMAの早期診断とFK506の中止, 支持療法の工夫により, TMAの著明な改善をみた.重症消化管TMA症例の救命の可能性を示唆する症例であると考え報告する.

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