日本小児血液学会雑誌
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遅発型内臓播種性水痘帯状疱疹ウイルス感染症をきたしたPh1陽性急性骨髄性白血病の同種骨髄移植後症例
西倉 紀子野田 恭代多賀 崇馬場 典子加藤 博文太田 茂竹内 義博
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2006 年 20 巻 6 号 p. 596-599

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抄録

2度の造血幹細胞移植後に内臓播種性水痘帯状疱疹ウイルス (VZV) 感染症をきたした15歳男児例を報告した.症例は12歳時にPhl陽性急性骨髄性白血病 (AML) を発症し, 2度の同種造血幹細胞移植 (初回非血縁臍帯血, 2回目非血縁骨髄移植) を受けた.再移植後511日目に突然右上腹部痛が出現し入院となった.鎮痛剤を投与しながら精査を進めたが, 確定診断に至らなかった.腹痛出現後5日目より体幹に水疱が広がりVZV感染と考えて, acyclovir (ACV) の投与を開始した.しかし, その翌日に多臓器不全のため死亡した.剖検にて, 肝臓組織よりPCR法でVZVが検出され, 内臓播種性VZV感染症と診断した.造血幹細胞移植後に突然の激しい腹痛を認めた場合はVZV感染も念頭におき'ただちにACVの投与を開始するとともに, 血液および組織生検のPCR法を積極的に行い, 早期診断に努めることが推奨される

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