日本小児血液学会雑誌
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血友病A-分子病態の解明から分子治療へ-
柴田 優
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2008 年 22 巻 4 号 p. 205-214

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抄録

血友病Aのデータベース上には, さまざまな遺伝子異常が登録されている.重症型の約40%はイントロン22における逆位であり, 近年PCR法を用いて簡便に検出できるようになった.点変異は第VIII因子遺伝子全般にわたっており, 従来SSCP法, CSGE法などを用いてスクリーニングが行われていたが, 全エクソンシークエンシングが検出率, 簡便性のうえでも優れており, 今後主流となるであろう.現在の遺伝子治療の大きな課題は宿主の免疫応答を回避することである.ウイルス由来の粒子や第VIII因子の過剰な発現に伴うストレスが免疫機構を賦活化し, 第VIII因子あるいは第VIII因子発現細胞を排除すると考えられる.第VIII因子遺伝子発現・産生・分泌のメカニズムを細部まで明らかにし, できるだけ生理的な形で第VIII因子を持続的に発現させる方法の確立が重要であると考えられる.

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