日本小児血液学会雑誌
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Biclonal leukemiaと考えられる一症例
小倉 雄一伊藤 保彦浅野 健太田 耕造金子 清志福永 慶隆山本 正生植田 穣中村 こずえ水谷 修紀
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1989 年 3 巻 1 号 p. 98-102

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抄録

急性白血病の10歳の女児でacute mixed iineage leukemia (AMLL) の病像を示した一例を報告する.初発時, 骨髄検査にてリンパ球様の小型芽球が66.5%, 単球様の大型芽球が30.0%認められた.細胞表面マーカーの検索では, 大型芽球はCD2, CD19, HLA-DR, CD33が陽性であったが, 小型芽球はCD2のみ陽性であった.PAS, POX, α NBESは双方の芽球とも陰性であった.またヤギ抗マウス免疫グロブリン抗体をCoatingしたウシ赤血球に対する貪食現象が大型芽球にのみ認められた.これらの所見より, 本例はAMLLと考えられた.さらに, 本例のclonalityを検討するため, X染色体連鎖性DNA正常多型 (Xchromosome linked DNA polymorphism) の解析を行った.その結果, 2種類の芽球は, おのおの独立したクローン由来であることが示唆された.表現型よりAMLLと考えられる急性白血病のclonalityの検索に, このようなDNA解析は有用な手法であると考えられる.

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