日本小児血液学会雑誌
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Congenital pure red cell anemiaに対し同種骨髄移植を施行した一例
嶋田 優美麦島 秀雄原 光彦三沢 正弘高橋 英夫鈴木 孝市川 正孝川田 孝吉藤沢 孝人大国 真彦〓田 茂實
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1989 年 3 巻 4 号 p. 376-382

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抄録

われわれは, pure red cell anemiaと診断され, 副腎皮質ステロイド剤, cyclophosphamide, AHLGなどを使用したが, 貧血の改善を認めなかった1歳男児に対し, 同種骨髄移植を行った.移植前の血液所見は, WBC 6,900/mm3, RBC 236×104/mm3, Hb 8.39/dl, Plat.62×104/mm3, Reticulo.0‰, 血液型はO型Rh (D) +であった.移植前処置として, day-8よりcyclophosphamide 50mg/kgを4日間, day-7よりbusulfan 3mg/kgを4日間, さらに60C0にて肺野を遮蔽し3.5 Gyの全身照射を行い, 1987年1月26日, HLA適合, MLC陰性, A型 Rh (D) +の4歳の兄をdonorとして骨髄有核細胞2.8×108/kgを移植した.移植後重篤な合併症もなく, 白血球数が1,000/mm3以上に達するまでに19日, 好中球数が500/mm3以上, 血小板数が5×104/mm3以上に達するまでにそれぞれ28日, 26日であった.移植後58日目の骨髄像では明らかに赤芽球系細胞の出現を認め, 120日目には生着を確認している.本症例は, 本邦第1例目であり, 現在も良好な経過を得ている.

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