日本小児血液学会雑誌
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T-cell 型急性リンパ性白血病にITPを合併した1女児例
榊原 均杉田 憲一長田 睦子池田 久剛江口 光興古川 利温
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1990 年 4 巻 4 号 p. 366-370

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抄録

T-cell型急性リンパ性白血病に合併したITPの1例を報告した.患児は9歳の女児で, 易疲労, 食欲不振, 四肢点状出血, 血尿にて当院に紹介された.入院時, 四肢および口腔粘膜の点状出血, 肝腫大, 胸腺腫, 貧血, 血小板減少を認め, 白血球数は7,100/μlで42%が芽球であった.骨髄では, 有核細胞数5q.6x104/μlで88.2%が芽球で, 巨核球は認めなかった.表面マーカーの検索ではIa (-), CALLA (-), Leu 190%, E-rosette (-) であった.以上より, 胸腺腫を伴ったT-cell型急性リンパ性白血病と診断し, TCLSGの第11次案Extremely High Risk Group のプロトコールに従い治療をした.完全寛解を得, 2年9ヵ月後にtherapy offとした.しかし, 治療終了後6ヵ月経過しても血小板は5万/μl前後の低値が持続し時折点状出血斑を認めた.骨髄検査では異型細胞はなぐ巨核球数90/μlであった.巨核球は形態学的にはやや小型で, 多くが巨核球分類の0型, 1型で血小板付着の減少を認めた.また, PAIgGが64.6~77.1 ng /107 cellsと高値を示した.この結果よりITPと診断した.

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