日本小児血液学会雑誌
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遺伝子組み変えヒト型顆粒球剌激因子 (rhG-CSF, KRN8601) の小児科領域における臨床的検討
抗癌剤投与後の二次性好中球減少症に対する有効性, 安全性の検討
岡村 純横山 〓月本 一郎小宮山 淳櫻井 実今宿 晋作宮崎 澄雄上田 一博塙 嘉之高久 史麿
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1990 年 4 巻 5 号 p. 428-435

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抄録

遺伝子組み変えヒト型顆粒球刺激因子 (rhG-CSF, KRN8601) の小児での有用性を, 悪性腫瘍化学療法後の好中球減少症を対象として検討した.患者には同じ化学療法を2回行い, 1回目は対照期とし, 2回目は化学療法後rhG-CSFを50μg/m2皮下, あるいは100μg/m2静注で10日間投与した.rhG-CSFは計105例に投与されたが, 17例が有効性の評価から, 2例が安全性の評価から除外された.本例投与により, 対照期に比し好中球および白血球最低値の有意な上昇と, 化学療法から好中球500/μlまでの回復日i数の有意な短縮が得られ, 有効率は72.8% (64/88) と高かった.感染症は対照期47.8% (42/88), rhG-CSF投与期29.5% (26/88) にみられ, rhG/CSF投与期で有意に減少した.副作用としては, 骨痛4件, 発熱2件, 下痢1件の計6症例 (5.8%) に認められたが, 重篤なものはなく, 耐容性は高かった.以上より, rhG-CSFは小児悪性腫瘍化学療法後の好中球減少症に有用な薬剤であると考えられた.

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