日本小児血液学会雑誌
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初発時両側末梢性顔面神経麻痺を呈し3p-, 8q-, 10p+, 17q+の染色体異常を示したAML (FAB M2) の1男児例
須藤 善雅佐藤 宣貴北澤 淳一荒井 宏治伊藤 悦朗河内 暁一横山 雄
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1991 年 5 巻 5 号 p. 519-524

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抄録

初診時両側末梢性顔面神経麻痺を呈し, 特異な染色体異常をもつ急性骨髄性白血病の1例を報告した.症例は2歳男児.右顔面神経麻痺が出現し約1週間で軽快後, 左顔面神経麻痺が出現したため近医を受診し当科に紹介された.末梢血白血球数13,800/μl, 白血病細胞24%, 骨髄では白血病細胞78.5%, FAB分類M2, 染色体は45, X, -Y, 3p-, 8q-, 10p+, 17q+ と46, XY, 3p-, 8q-, 10p+, 17q+が半々に認められた.細胞表面マーカーは二重染色で同一細胞にCDl3とCD19, CD33とCD19が陽性であった.髄膜白血病を認め, CT, MRIでは側頭筋, 後頭蓋窩内chloromaと両側乳様蜂巣への浸潤像を認めた.化学療法, 頭蓋照射が奏効し, 麻痺の回復, MRI上乳様蜂巣内異常信号部の消失がみられ, 10ヵ月間寛解を維持している.MRIは, 白血病浸潤による乳様突起炎の診断と治療効果の評価に有用と考えられた.

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