日本小児血液学会雑誌
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重症心身障害児 (者) における貧血の検討
鉄代謝を中心に
仁保 幸次右田 真山本 正生
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キーワード: 重症心身障害者, 貧血
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1993 年 7 巻 5 号 p. 425-431

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抄録

重症心身障害児 (者) には, しばしば貧血が合併する.今回我々は重障者のより高いqualityoflifeを志向し, これら貧血の特徴を鉄代謝面を中心に小児鉄欠乏性貧血患者と比較検討した.対象は重障者120名で, うち52名 (43.3%) に貧血を認め, そのうち正球性正色素性貧血が最も多く, 鉄欠乏性貧血の診断基準を満たしたものは貧血者の38.5%であった.貧血群と非貧血群で比較すると, 血清葉酸値, ビタミンB12値・銅値は, いずれも統計的に有意差はなかったが, 経管栄養群は経口栄養群と比し, Hb値, 血清鉄, 血清銅が有意に低値を示した.重障者鉄欠乏性貧血群 (20名) のTIBCの平均は, 340±46.4μg/dlとほとんどが異常高値を示さなかった.鉄剤に対する反応は, 小児鉄欠乏性貧血群に比べ軽微であり, 特に低TIBC群 (350μg未満) でこの傾向が強かった.今回の検討結果は, 今後の重障者の長期療養にともなう栄養学的面に示唆を与えるものと思われる.

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