日本小児血液学会雑誌
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神経芽腫に対する自家骨髄移植例における骨髄採取時期および移植後の血液学的回復に関する検討
陳 基明麦島 秀雄
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1993 年 7 巻 5 号 p. 437-443

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抄録

進行性神経芽腫に対するmagnetic immunobeads処理自家骨髄移植19症例について, より速やかに血液学的回復が得られる骨髄採取時期を決定するために, 骨髄採取時の末梢血液所見, 輸注骨髄造血幹細胞数と血液学的回復との関連性について後方視的に検討した.骨髄採取時の末梢血中の白血球数, 好中球数, 血小板数の平均値はそれぞれ, 4,452±1,963/μl, 2,154±1,460/μl, 24.5±7.4×104/μlであった.移植前の化学療法期間が6カ月以上の群では, 骨髄単核細胞あたりのcolony-fbrming unit in granulocyte macrophage (以下CFU-GM) 数が6カ月以内の群より減少する傾向がみられた.また, 化学療法期間が6カ月以内の輸注骨髄単核細胞数と輸注骨髄CFU-GM数は, 強い相関が認められたが6カ月以上では相関がみられなかった.輸注骨髄CFU-GM数が5.0×104/kg以上の群では, それ以下の群よりも白血球数, 好中球数の回復日数が早く, 有熱期間も短い傾向がみられた.しかし, 血小板数の回復とは相関がみられなかった.本症に対する自家骨髄移植では, 初期化学療法により完全寛解後に, 出来るだけ早期に採取した骨髄を使用することが, 移植後の血液学的回復を速やかにすることが示唆された.

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