日本小児血液学会雑誌
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小児白血病, 悪性リンパ腫患者におけるサイトメガロウイルス感染
日比 成美森本 哲岩見 均吉原 隆夫生嶋 聡北条 誠橋田 哲夫森岡 義仁数田 紀久子木戸脇 卓郎東道 伸二郎粕淵 康郎生田 治康小西 清三郎今宿 晋作
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1993 年 7 巻 5 号 p. 462-466

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抄録

小児白血病・悪性リンパ腫の患者におけるサイトメガロウイルス (CMV) 感染を検討する目的で, 122例 (ALL92例, AML12例, NHL/HD16例, CML/JCML2例) を対象にCMV抗体価 (EIA-IgG, -IgM, CF) を測定した.その結果, 46例 (38%) がCF抗体価4倍未満で, 59例 (48%) がlowtiter群 (4≦CF≦32), 17例 (14%) がhigh titer群 (CF≧64) であった.抗体価と原疾患, あるいは化学療法中か完了後かとの間には相関は見られなかったが, high titer群は治療開始後15カ月から60カ月の間に多く見られた.化学療法開始時と今回検索時の二点で抗体価を測定しえた52例 (ALL41例, AML6例, NHL3例, CML/JCML2例) では, 治療開始時CMV (EIA-IgG) 抗体陰性であった症例の43%がその後陽性となり, 既感染であった症例の54%に4倍以上の抗体価の上昇が見られた.IgM抗体の検索では, low titer群全例が陰性であったのに対しhigh titer群の17例中4例は陽性で (p<0.01), うち6例にのべ7回の症候性CMV感染症の既往が認められた.high titer群10例, low titer群8例について末梢血単核球におけるCMV genomeをPCR法により検索したところhigh titer群の4例に検出された.以上から, CMV-CF抗体価64倍以上の症例にっいては, CMVの活性化が起こっている可能性が高く, 定期的な免疫能や眼科的精査をする必要があり, 未感染の症例には, CMV抗体陰性の血液製剤の使用に努める必要がある.

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