2017 年 1 巻 論文ID: 2016-002
2015年度より,改訂版薬学教育モデル・コアカリキュラムに基づく新たな薬学教育が開始するのに先立ち,本学では2014年度より薬学的視点を重視した新たな不自由体験実習を考案した.
過去,車椅子体験,高齢者疑似体験等が実施されてきたが,臨床現場では,上記のサポートは看護師や介護士が行うことが多いため,薬学部で実施する特色を十分に反映しているとは言い難かった.一方,新たな不自由体験実習では,服薬困難を感じうる状況として,片麻痺,視覚障害,嚥下障害,発話不可の場面を設定し,各場面体験後に調査票形式での実習記録を作成した.その結果,大多数の学生から,身体に不自由がある場合の服薬は予想以上に難しく,それを体験できたことが今後の学習や研究に大いに刺激となったとの感想が寄せられたことから,服薬不自由体験実習は学生の意識改革に有用であり,将来,創薬研究を含めた広義の医療人となりうる薬学生に好影響を与えたことが示唆された.