本研究では,薬学生が使用する認知的学習方略の相互の因果関係と経時的な変遷を明らかにすることを目的として,一私立薬科大学におけるある学年集団を6年間に渡り追跡調査した.その結果,大学入学当初の深い処理方略の使用傾向が,最終学年での使用に大きく影響すること,また深い処理方略は,浅い処理である反復作業方略による抑制的な影響を受けることが示唆された.さらに,反復作業方略とまとめ作業方略の使用は,個人差を伴いながらも6年間で徐々に減少することが本研究の対象集団において明らかになった.これらの知見から,高度な専門的内容を学修する薬学部において,学生がより効果的に学べるように導くためには,大学入学の早期から深い処理方略の重要性を認識させ,浅い処理の方略に過度に依存させないような学修支援が有効であると考えられた.対象集団の特性を考慮する必要はあるものの,本研究結果が薬学部における長期的な学修支援の基盤構築の一助になることを期待している.