2019 年 8 巻 3 号 p. 135-144
目的:より確実なDOTS の遂行を検討するために,フィリピン人結核患者特有の服薬治療中断リスク要因を明らかにする.
方法:服薬中断したフィリピン人結核患者を担当した保健師7名に半構成的面接法によるインタビュー調査を行い,患者の服薬中断リスク要因を質的帰納的に分析した.
結果:フィリピン人結核患者の服薬中断リスク要因は,国民性の違いや病気の受け止め方と受診習慣の違いからくる患者自身の気質・生育にかかわる要因,そして経済的困難から生じる不規則な生活,通院への負担感,服薬協力者がいない,言葉の障壁による意志疎通困難,在留外国人に対する健康管理体制の不整備からくる環境的服薬中断リスク要因であった.
考察:フィリピン人結核患者が服薬中断しないためには,言葉での意思疎通を十分に図ること以外に,母国の文化や国民性の違いを理解すること,職場や日常生活の中での受療のしづらさを考慮した服薬支援の必要性が示唆された.