日本植物病理学会報
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原著
チャ赤焼病の発生に及ぼす氷核活性細菌Xanthomonas campestris の影響
富濱 毅西 八束荒井 啓
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2006 年 72 巻 1 号 p. 14-21

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抄録
低温期においてINAXが赤焼病の発生に及ぼす影響について調査した. INAXは接種部位に106 cfu以上存在するとき, -4℃低温遭遇時にチャ葉に凍害を引き起こした. 赤焼病細菌にINAXを混合接種した場合, -4℃の低温処理を繰り返し行うとINAXは赤焼病細菌の病斑形成を助長した. また, ほ場接種試験においてもINAXは赤焼病の発生を助長した. 接種試験における病斑部からのINAXの分離頻度は, 降雨時に採取した大型病斑で高く, 晴天時に採取した小型病斑で低かった. 自然発生ほ場における年間の赤焼病細菌とINAXの密度推移は, 冬期に両菌が同調して密度を高める場合があった. また, 自然発生した56ほ場から採取した病斑の54%からINAXが検出され, 46%のほ場でINAXによって赤焼病の発生が助長されている可能性が示された. 以上のことから, 低温期においてINAXが赤焼病の発生を助長する場合があることが明らかとなった.
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© 2006 日本植物病理学会
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