日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
Print ISSN : 0031-9473
ISSN-L : 0031-9473
原著
鹿児島県内の茶園におけるストロビルリン系薬剤とベンゾイミダゾール系薬剤に耐性を示すチャ輪斑病菌の発生実態と薬剤の防除効果
尾松 直志富濱 毅野中 壽之
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 78 巻 1 号 p. 3-9

詳細
抄録

チャ輪斑病は茶園における重要病害のひとつである.これまでに,鹿児島県では輪斑病防除にチオファネートメチル水和剤とアゾキシストロビン水和剤が広く用いられてきた.しかし,1983年にはベンゾイミダゾール系薬剤耐性菌の発生が,2008年にはQoI剤耐性菌の発生が確認された.そこで,鹿児島県内のチャ園において,2008年には139ほ場2260菌株についてQoI剤耐性菌の発生状況を,2009年には110ほ場2316菌株についてQoI剤耐性菌とベンゾイミダゾール系薬剤耐性菌の発生状況について調査した.2カ年のQoI剤耐性菌の発生ほ場率は31.7%と33.6%,耐性菌株率は12.8%と13.2%とほぼ同程度の発生であった.発生地域には偏りが見られ,南薩や曽於地区に多く,姶良や北薩地区では少ない傾向にあった.一方,ベンゾイミダゾール系薬剤耐性菌は高度耐性菌と中等度耐性菌が混在しており,近年使用していないにもかかわらず,中等度耐性菌を含めると発生ほ場率80.9%と広範囲に存在しており,耐性菌が自然環境下で安定して存在していると考えられる.また,両剤に高度耐性を示す菌株も調査ほ場の20.0%で検出された.QoI剤耐性菌が発生しているほ場では同系統薬剤の防除効果は低く,耐性菌の割合が高まるほどその効果は低下した.さらに,薬剤散布前の耐性菌割合が低いほ場でも1回の防除によって耐性菌割合が急激に高まった.このような結果はベンゾイミダゾール系薬剤においても同様であった.以上のことから,耐性菌発生ほ場における同系統薬剤の使用の危険性が示唆された.

著者関連情報
© 2012 日本植物病理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top