日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
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原著
葯培養によるピーマン黒枯病抵抗性育種母本の育成
下元 祥史澤田 博正岡田 昌久森田 泰彰水本 祐之木場 章範曵地 康史
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2012 年 78 巻 2 号 p. 85-91

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抄録
ピーマン黒枯病抵抗性育種母本の開発を目的に,まず,日本国内の主要なピーマン・シシトウガラシ品種とその育種素材のピーマン黒枯病に対する抵抗性を評価した結果,強度抵抗性を示すものは認められなかった.そこで,ミャンマーで収集されたCapsicum属植物38系統のピーマン黒枯病に対する抵抗性を評価したところ,5系統が強抵抗性を示したことから,これらの固定系統を作出するために葯培養を行った.作出された葯培養系統を用いて黒枯病に対する抵抗性を評価した結果,いずれの葯培養系統も黒枯病に対して強度抵抗性であった.さらに,強抵抗性の4系統を選抜し,その自殖系統の黒枯病に対する抵抗性を評価した結果,葯培養系統と同様に強度な黒枯病抵抗性が認められた.したがって,これらの葯培養自殖系統は,黒枯病抵抗性形質が固定されており,黒枯病抵抗性育種母本として利用が可能であると判断された.
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© 2012 日本植物病理学会
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