日本植物病理学会報
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原著
ウリ類炭疽病菌においてホメオボックス転写制御因子CoHox2は分生胞子形成および剛毛形成を制御する
小幡 善也横山 綾泉津 弘佑入江 俊一鈴木 一実
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2019 年 85 巻 4 号 p. 334-344

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抄録

ホメオボックスはホメオドメインと呼ばれる180 bpから成るDNA結合モチーフを有し,転写制御因子をコードする.そして,菌類や他の真核生物では,形態形成に重要な役割を持つことが知られている.本研究では,キュウリ炭疽病の病原体であるウリ類炭疽病菌に保存されている10個のホメオボックスの内の1つであるCoHox2の機能を明らかにした.CoHox2遺伝子を欠損したCoHox2遺伝子破壊株は野生株と比較し,分生胞子形成数が約30%に減少していた.また,CoHox2遺伝子破壊株により形成された分生胞子の形態は野生株104-Tと比較して,大きな差異を示さなかった.さらに,CoHox2遺伝子破壊株はガラス面上で正常に付着器を形成し,宿主植物であるキュウリに病気を引き起こした.また,走査型電子顕微鏡を用いた観察により,剛毛形成数が増加していることが明らかとなった.以上の結果より,CoHox2が分生胞子形成を正に制御し,剛毛形成を負に制御することが示唆された.野生株を用いた顕微鏡観察により,培養7日後に剛毛が形成する分生胞子が細胞核を有することと,培養13日後に剛毛が発芽し,透明な菌糸を伸長していることが明らかとなった.以上の結果より,剛毛が培養初期に細胞核を有する分生胞子を形成する機能と培養後期に菌糸を伸長させる機能を持つことが考えられた.

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© 2019 日本植物病理学会
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