日本植物病理学会報
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オリーヴ炭疽病菌の2,4-D添加培養濾液中に生成された本菌阻害物質に就いて
内藤 中人谷 利一
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1955 年 19 巻 3-4 号 p. 129-132

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抄録

1. 本論文は2,4-D添加液体培地に培養したオリーヴ炭疽病菌 (Gloeosporium Olivarum Alm.) の培養滬液中に生成される本菌阻害物質の粗分離並に生成量と培養条件との関係に就き記述した。
2. 本菌の2,4-D添加培養滬液から2,4-D及び栄養源の残渣を除くために, 硫酸々性 (pH 2.0) としエーテルで振盪し, エーテル層を更に4%NaOH水溶液で振盪後エーテルを蒸発させると黄色油状の粗阻害物質を得る。
3. 2,4-Dの本菌に対する発育抑制は菌に対する直接的な作用によるものではなく, その添加により生成される本菌阻害物質が主因をなすものである。
4. 阻害物質は添加2,4-D濃度が0.04%の時最も多量に形成される。標準無添加区に於ては培養12日で既に自己消化の段階にあるが, 2,4-D添加区では栄養源が尚残存するに係らず12日で既に発育を中止するけれど, 阻害物質の生成は其後も尚継続される。
5. 阻害物質の生成はリチャーヅ氏液のKNO3を酒石酸アンモンに置換したものに於て最も多いが, これは培養中低いpHに保たれたため2,4-Dの菌体内えの吸収が多かつた事に基くものと推定される。

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