日本植物病理学会報
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オリーブ炭疽病菌の2,4,5-T或はM.C.P. 添加培養による抗生物質の生成
内藤 中人谷 利一
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1956 年 21 巻 2-3 号 p. 74-78

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抄録

1) 2,4,5-T或はM.C.P. を添加したペプトン加用合成寒天培地におけるオリーブ炭疸病菌 (Gloeosporium olivarum Alm.) の生長曲線は凸字の対数曲線型で, また同液体培地では早期に生長がとまる。即ち“staling”型の生長を示す。これに反しI.P.C., P.C.P. 或はα-ナフタレン醋酸加里塩を添加した寒天培地の生長曲線は凹字の指数曲線型で, また液体培地では自己消化の域に至つてはじめて生長がとまる。即ち“non-staling”型の生長を示す。
2) 本菌の2,4,5-T或はM.C.P.添加培養濾液を硫酸々性 (pH2.0) としてエーテルで振盪し, エーテル層を更に4% NaOH水溶液で振盪後エーテルをとばすと, 黄色油状の粗抗生物質を得る。
3) 本抗生物質は培養経過日数と共に増大し, 供試濃度の範囲では両剤の添加濃度が高いほど生成量も多い。
4) 抗生物質生成を誘致するこのような性質は, 生長ホルモンに共通のものではなく, 2,4-Dと構造が類縁の薬剤に特有のものであろう。

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