1959 年 24 巻 4 号 p. 234-238
(1) エンバク冠銹病菌 (Puccinia coronata Corda) 夏胞子を蒸溜水の表面に浮かべると, 水面における胞子密度が高いほど, また同密度が一定のときは水量の少ないほど発芽がわるい。
(2) 本菌夏胞子中には発芽を完全に阻止するに足る濃度の self-inhibitor がもともと存在する。前項の発芽不良は本物質に密接な関連があると考える。
(3) 本菌夏胞子が空気中ではあまり発芽しないのに水上でよく発芽するのも主として, 水との接触により self-inhibitor が水液中に溶出し, 胞子内の同物質濃度を低下させるためと解する。