日本植物病理学会報
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ダイコンモザイク病ウイルスに関する研究
II. グイコンPウイルスの血清学的研究
栃原 比呂志
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1959 年 24 巻 5 号 p. 296-301

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抄録

千葉県松戸で採集したダイコンモザイク症状株から分離したPウイルス (分離株P0) について血清学的研究を行ない次の結果を得た。
(1) P0罹病コカブ葉汁液を塩析と分劃遠心で純化し, このP0純化標品を2∼7日間隔で家兎に注射して, 力価1:40,000の抗血清を得た。この抗血清はPウイルスと特異的に反応し, 健全植物あるいはRウイルス, CMVその他のウイルス罹病植物汁液とは反応しない。またPウイルス (P0) を完全に吸収する。
(2) P0抗血清は, スライド法でP00罹病コカブ葉汁液の約300倍稀釈, 沈降反応で約2,000倍稀釈, 純化ウイルスで0.002∼0.005mg/mlまで肉眼的に反応が認められた。
(3) 東京周辺のダイコンモザイク症状株231株中, 106株がP0抗血清と反応した。76株については汁液接種によつてウイルスの寄主範囲を調べたが, Pウイルス, Qウイルス, Rウイルス, CMVと考えられるものが検出された。このうち31株が単独感染株で, 他は2∼3重感染株と判定された。

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