日本植物病理学会報
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Ethylene-bis-dithiocarbamates の殺菌性と滲透性
平井 篤造
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1962 年 27 巻 3 号 p. 122-128

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抄録

1. ZnEDC, NH4EDCを土壌灌注すれば, トマト苗葉のジャガイモ疫病菌による病斑伸展を阻止する。
2. EDCを土壌灌注したトマト苗葉, または葉面散布してよく水洗したその散布葉の, 各葉汁液中には, イネごま葉枯病菌分生子の発芽を阻害する物質がある。この物質は透析によつて除かれる。
3. NH4EDCと土壌灌注したトマト苗葉では, 非タンパクNおよび全酸量が増し, コハク酸→リンゴ酸→の経路が促進し, また酸素吸収が増進する。しかし核酸量には対照葉との間に差がなかつた。
4. 希薄EDC溶液を室温に放置すると, イネごま葉枯病菌分生子の発芽阻害が増加する。このとき同時に277mμの紫外部吸収が現われ, ETMあるいはETDが形成されたことを示す。EDCを葉面に散布し, あるいは菌体と接触させて, ETMが形成され, またその形成が促進されることを証明した。

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