1963 年 28 巻 3 号 p. 124-130
植物病害感受性は, 遺伝子によつて直接支配される固有感受性 (Inherent susceptibility), 環境反応感受性 (Environment-respondent susceptibility) および両者の相互作用による感受性 (Susceptibility due to their interaction) とに分割することができよう。本論文は野生イネの一集団から分離した16系統のいもち病感受性の変異を基として, 上記の3成分の分割の形式と, 各感受性に対応するパラメーター, すなわちDc (固有感受性指数), Db (環境反応感受性指数), Db×c (相互作用効果指数) について理論的考察を加え, 可能な4種の場合について論議した。これらのパラメーターによつて, 寄主のいわゆる真正抵抗性 (True resistance) と, ほ場抵抗性 (Field resistance) を規定することができる。また植物育種における上記の3種のパラメーターの意味も検討された。