日本植物病理学会報
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チュウリップモザイク病に関する研究V
凍結乾燥その他の方法による Tulip mosaic virus の病原性の保存
山口 昭
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1963 年 28 巻 3 号 p. 171-174

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抄録

萠芽期のチュウリップ (William Pitt) を検定植物として容疑チュウリップのウイルス検出試験を行なうために, Tulip mosaic virus を組織または磨砕液中で保存する方法について検討した。
真空凍結乾燥した罹病チュウリップの葉組織・花梗組織および葉磨砕液は, いずれも315日間の低温貯蔵後も病原性を保持した。花弁は, 組織を用いても磨砕液を用いてもあまり効果的でなかつた。
罹病葉を細切して塩化カルシュウムまたはシリカゲル上におき; 0∼5°Cで乾燥保存したものも311日間の貯蔵に耐えた。
さらに簡便な方法として罹病葉および花弁を-20°Cに凍結して貯蔵したが, 約10カ月後も病原性を保持していた。
これらの結果を応用して, 容疑チュウリップ株やユリから Tulip mosaic virus を検出することが容易にかつ能率的に行なえるようになつた。

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