日本植物病理学会報
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柑橘ウイルスの検定植物に関する研究 第1報
温州萎縮病樹汁液によるマメ科植物への接種
田中 彰一岸 国平
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1963 年 28 巻 5 号 p. 262-269

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抄録

1. 静岡県下4個所から得た萎縮病罹病温州ミカンの若い枝葉を接種源とし, マメ科植物32種および少数の他科の植物に汁液接種を行なつた結果, ササゲ, ジュウロクササゲ, インゲン, クロタラリヤ, ナンキンマメ, ヱンドウ, レンゲソウ, ナタマメおよびヤハズソウの9種に感染がおこつた。いまだ温州ミカンへの戻し接種に成功していないが, このウイルスを温州萎縮ウイルス (Satsuma dwarf virus) と仮称することとする。
2. ササゲ (Blackeye) は汁液接種によつて葉の mottling, vein clearing および葉柄ならびに茎の necrotic streak などを現わし, またチャシロインゲンは mottling, vein clearing などの鮮明な病徴を現わし, かつ発病率もきわめて高く, 本ウイルスの検定植物として適当なものと認められた。
3. 接種汁液の調製に際しては, これに緩衝液としてK2HPO4 0.1Mまたは0.05M溶液をほぼ等量加えるのが適当である。
4. 萌芽後1カ月以内の罹病樹の新梢は葉, 靱皮部および樹皮, 木質部いずれの部分においてもウイルス活性が高かつたが, 前年生枝および当年生枝でも古くなつたものは, 木質部においてのみウイルス活性が高く, 葉や靱皮部および樹皮では活性は失われている。

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