日本植物病理学会報
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イネ白葉枯病の病態生化学的研究
II. イネ白葉枯病菌の数系統および近縁細菌の硫黄源利用性
渡辺 哲郎関沢 泰治小田 信
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1967 年 33 巻 1 号 p. 32-37

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抄録

1. イネ白葉枯病菌7系統および同属5種の菌について無機態硫黄源の利用性につき実験した。
2. イネ白葉枯病菌7系統(その中1系統の単細胞分離菌を含む)およびミカン潰瘍病菌は長い誘導期間の後に硫酸根を無機態硫黄源としてある程度利用するが,急激な増殖の開始には含硫アミノ酸が必要であることを再確認した。
3. 同属のワタ角点病菌,モモ穿孔性細菌病菌,インゲン葉焼病菌およびトマト斑点性細菌病菌は硫酸根を無機態硫黄源としてよく利用し得る。
4. 有機態硫黄源の利用性からミカン潰瘍病菌,モモ穿孔性細菌病菌およびインゲン葉焼病菌にはS-スルフォシスティンからメチオニンに至る含硫アミノ酸代謝系の存在が推定される。
5. イネ白葉枯病菌,ミカン潰瘍病菌およびモモ穿孔性細菌病菌は硫酸根を無機態硫黄源として利用する場合,ニコチン酸アミドの存在により増殖が高まることがあるので,ニコチン酸アミドの生成能ひいては硫酸根還元酵素の助酵素部分におけるニコチン酸アミドの関与が推察された。
6. イネ白葉枯病菌の系統による病源性あるいはファージ感受性と無機態硫黄源利用における誘導期の長さあるいはL-システィン要求性との間に関連性を認め難い。

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