日本植物病理学会報
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イネ葉上および組織内におけるフェニルヒドラジンアシル誘導体のいもち病菌に対する作用
角名 郁郎松浦 一穂
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1967 年 33 巻 3 号 p. 138-143

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抄録

β-アシルクロル置換フェニルヒドラジン誘導体の中で特に高いいもち病防除効果を示した1-(3, 4-dichlorophenyl)-2-acetylhydrazine (I)および1-(4-chlorophenyl)-2-acetylhydrazine (II)につきin vitroおよびイネ葉上,組織内におけるいもち病菌分生胞子発芽および菌糸生育に対する阻害作用について検討した。
Iはin vitroにおいて胞子発芽,菌糸生育に対し,おのおの125および175ppm以上で強い静菌作用を示した。一方殺菌的には胞子より菌糸に対し強い阻害を示した。
イネ葉上においては1000ppmの薬液を散布し2日後に接種した場合,IおよびIIは胞子発芽,付着器形成に対して十分な阻害を示さなかった。ところがイネ葉鞘組織内においてはともに侵入菌糸の伸長を強く抑制し,ブラストサイジンSとほぼ同程度の作用であった。
以上の結果からβ-アシルフェニルヒドラジン誘導体は予防あるいは治療散布のいずれの場合でも,組織内侵入菌糸に対してもっとも強く作用すると考えられる。

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