日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
Print ISSN : 0031-9473
ISSN-L : 0031-9473
イネ病原菌胞子の発芽力におよぼす静水圧の影響
植物疾病に対する物理的要因の影響 III
池上 八郎高木 勇
著者情報
ジャーナル フリー

1967 年 33 巻 3 号 p. 144-149

詳細
抄録

1. Cochliobolus miyabeanusの分生胞子とUstilaginoidea virensの厚膜胞子はともに2,500kg/cm2, 10分加圧で,またPiricularia oryzaeの分生胞子は2,000kg/cm2, 10分加圧で全く発芽能力を失った。静水圧の影響を受けたC. miyabeanus分生胞子が発芽したとき,発芽管は無加圧胞子のそれよりも細く短かかった。本菌の分生胞子を2,000kg/cm2, 10分加圧して発芽させた場合,発芽管はやや伸長してから4~5叉に分岐する異常伸長が観察された。同様の発芽は1,000kg/cm2, 20分および30分加圧したP. oryzaeの分生胞子でもみられた。
2. 1,000, 1,500および2,000kg/cm2で加圧時間を変えた場合,胞子の発芽指数は1.000kg/cm2におけるC. miyabeanusの分生胞子を除いて,加圧時間の長くなるほど減少した。C. miyabeanusの分生胞子が耐圧性最も大であり,また胞子個体間の耐圧力の差は大であった。P. oryzae分生胞子の耐圧力は最も小であるとともに個体間の差は小であった。
3. C. miyabeanusおよびP. oryzaeの分生胞子発芽管は静水圧の高まるにつれて次第に減少し,2,500kg/cm2では長時間保温しても伸びなかった。

著者関連情報
© 日本植物病理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top