日本植物病理学会報
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抗いもち剤ペンタクロロベンジルアルコールのイネにおよぼす影響
角 博次高日 幸義中神 和人近藤 泰彦
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1967 年 33 巻 3 号 p. 150-155

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抄録

いもち病防除剤ペンタクロロベンジルアルコール(PCBA)のイネの生理におよぼす影響を知るため,PCBA散布イネと無散布イネの窒素成分および炭水化物成分の含有率を経時的に定量した。
その結果,PCBA散布イネに,つぎのような影響がみられた。
1) 全窒素含有率は無散布イネよりやや低下して推移するが,登熟過程において,かえって無散布イネより増加する。
2) 全水溶性窒素および蛋白態窒素は,全窒素とほぼ同様な傾向を示したが,遊離アミノ態窒素のうち,ことにグルタミン酸が,ついでアスパラギン酸が,ある時期に著しい低下を示し,その後はやゝ回復しながらも,なお長期間低下した状態にあった。
3) 炭水化物成分では,乳熟期頃まで下位の葉鞘に多量のデンプンの蓄積が認められ,穂えのデンプン集積過程にも若干の差異がみられた。

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