日本植物病理学会報
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クワ萎縮病の病徴発現におよぼすテトラサイクリン系抗生物質の影響
石家 達爾土居 養二与良 清明日山 秀文
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1967 年 33 巻 4 号 p. 267-275

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抄録
(1) 萎縮病罹病クワの組織内にMycoplasmaまたはPLT群に類似の微生物が見出されたとの知見に基ずき,クワ萎縮病の病徴発現に対する抗生物質の影響を試験した。
(2) クロルテトラサイクリンとテトラサイクリンとは本病の発病抑制に明らかな効果を示したが,カナマイシンの効果は認められなかつた。
(3) 効果の程度は薬液施用方法によつて差があり,根部浸漬がもつとも有効で,茎葉散布がこれに次いだが,土壌への灌注では効果は全く認められなかつた。また茎葉散布と土壌灌注との併用処理の効果は,茎葉散布と同程度であつた。
(4) テトラサイクリンの根部浸漬処理では10ppm液で処理後3日ごろから,また10ppm液では7日ごろから効果が現われ始めた。
(5) 2∼3日おきのテトラサイクリン茎葉散布では,10ppm液による効果は明らかでなかつたが,10ppm液では処理開始の10日後ごろから効果が示された。
(6) 薬剤施用により一旦病徴のみられなくなつたものでも,処理を止めるとある期間後にふたたび発病する傾向がある。再発までに要する期間は,病苗の病徴程度,苗の大きさ,育苗条件等によつて異なる。
(7) 以上の結果から,クワ萎縮病の病原はテトラサイクリン系抗生物質に対して感受性であろうと考えられる。
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