日本植物病理学会報
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ソラマメえそモザイクウイルス
井上 忠男麻谷 正義
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1968 年 34 巻 5 号 p. 317-322

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抄録

土壌伝染性のソラマメえそモザイクの病原ウイルス(BNV)の寄生性,粒子の形態などについて調べて同定を確立し,他のウイルスとの関連異同を明らかにした。
BNVはソラマメ,エンドウ,スイートピーなどのマメ科植物に全身感染してえそ病徴と不鮮明な軽いモザイク症状をあらわす。インゲンのいくつかの品種の接種葉に,時おりlocal lesionを生じるが全身感染しない。C. amaranticolorに白色~赤褐色の拡大性輪紋状のlocal lesionを生じ,N. rustica, N. clevelandiiにもlocal lesionを生じるが,その他の植物には病原性が認められなかつた。エンドウをウイルス原とし,C. amaranticolor上で調べたBNVの粗汁液中での耐熱性は50~55℃,希釈限度は10-3~10-4倍,保存限度は20℃で8~17日であつた。ウイルス粒子は径25mμで,150mμに最大,250mμにも長さの分布のピークが認められる。スイートピー上でのBNVのtobacco rattle virus (TRV)に対する干渉効果はきわめて不完全と認められた。BNVはBran-desの粒子の形態による分類のTRV群に入るとみられるが,粒子の形態,寄生性,病徴,物理性などの特徴からTRVやpea early-browning virusなどとは別種のウイルスと考えられる。

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