日本植物病理学会報
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タバコ葉に侵入直後のタバコモザイクウイルス粒子の分解
平島 昭和平井 篤造
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1969 年 35 巻 1 号 p. 25-28

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抄録

32Pラベルのタバコモザイクウイルス(TMV)を接種したタバコ葉から,各感染時期ごとに,105,000g遠心沈殿(P3分画,リボソームを含む)をとり出した。これをショ糖密度勾配遠心分離で分画したところ,TMVの主要ピークのほかに,1∼2コの肩(shoulder)があらわれた。この肩は感染時期が進行するとともに,とくに感染後6時間目に,明らかなピークとなった。RNase処理実験および35SラベルTMVを接種した実験から,TMVピークおよびその肩は蛋白を含むことが明らかになった。この肩の出現は,試験管でのTMVの分解に基づくものでないことを種々な対照実験で確かめた。以上の事実から,TMVがタバコ葉内に侵入直後,少なくとも6時間以内に,蛋白の一部がとれた粒子に分解することが論ぜられた。

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