日本植物病理学会報
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イネごま葉枯病菌分生胞子の形態に及ぼすD-アミノ酸の影響
津田 盛也江川 宏上山 昭則
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1969 年 35 巻 1 号 p. 81-84

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抄録

Czapek培地のNaNO3と等量のチッ素を9種のD-ならびにL-アミノ酸でおきかえた培地に,Helminthosporium oryzaeを接種し,28°C, 10日後に生じた分生胞子を観察した。D-Arg, D-Lys, L-Lys, D-MetならびにL-Met含有培地では細胞数が減少し,L-Arg区では増加する傾向が認められた。また長径/短径の比の小さい分生胞子を生じる培地はD-Arg, D-Lys, L-Lys区で,値の大きいのはL-Thr区である。なおD-Glu区ならびにD-Val区では分生胞子は形成されなかった。このことはL-Gluが菌糸生長に対する良好なチッ素原であることと対比すると興味深い。
さきに報告したFusarium roseumを用いたときの結果とこの結果を綜合すれば,各種アミノ酸の胞子形成に関連する代謝生理を追究するときの一つのよりどころになると考えられる。

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