日本植物病理学会報
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TMVに感染したsystemic hostの葉に熱処理によって誘起さるれ壊死斑
大橋 祐子下村 徹
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1971 年 37 巻 1 号 p. 22-28

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抄録

1. TMVを接種したトルコタバコの葉を熱処理すると,この葉にlocal lesionが形成されることがFoster and Ross (1968)によって報告された。筆者らはTMVを接種したXanthiまたはSamsunタバコの葉についてこのことを追試確認し,筆者らの実験条件下での熱処理によるlesion形成の最適条件について検討した。
2. 熱処理によってXanthiまたはSamsunの葉に誘起されるlesionの数を,同じ濃度のTMVを接種した,Xanthi ncまたはSamsun NN (local lesion host)のそれと比較したところ,systemic hostとlocal lesion, hostの間ではいずれも差がなく,XanthiとXanthi ncの間では感染性-希釈曲線にも差がみられない。また,XanthiとXanthi ncの健全葉表皮のectodesmataの数にも差がみられなかった。しかしsystemic hostの熱処理によって形成されるlesionは,local lesion hostに形成されるlesionにくらべ直径がはるかに大きく,接種後TMVは各lesionを中心により急速に全葉に広がるようであった。
3. 以上の結果から,local lesion hostでウイルスがあまり増殖しないのは,infectible siteがこの宿主で少ないためではなく,感染成立後のTMVの増殖あるいは移行に差があるためと考えられる。

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