日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
Print ISSN : 0031-9473
ISSN-L : 0031-9473
Puccinia coronataに感染したエンバク葉の罹病ならびに抵抗反応にともなう32P-リボ核酸の変化
谷 利一吉川 正明内藤 中人
著者情報
ジャーナル フリー

1971 年 37 巻 1 号 p. 43-51

詳細
抄録
エンバク子苗第1葉にPuccinia coronataを接種し,各種リボ核酸区分への32P-とり込みの変化をMAKカラム法で調べた。罹病性品種のビクトリアでは,32Pの罹病/健全比はrRNA区分において胞子堆形成開始の初期(接種3日後)から増加し,胞子堆形成期間(同4-5日後)にはいちじるしく増加した。sRNA区分へのとり込み比は胞子形成開始期(同5日後)にだけ増加した。TB-RNAならびにrapidly labeled RNA区分における同比の変化はrRNAとほぼ同じ傾向を示した。抵抗性品種の勝冠1号では,罹病/健全比はsRNA, rRNA, TB-RNA区分においてほぼ等しく増加した。増加は吸器形成期以前(接種20時間後)にすでにわずか認められ,接種28-48時間後にいちじるしかった。Rapidly labeled RNAも同じく感染によって増加した。標識RNAの塩基組成比を分析した結果から,32P-rRNAの増加は罹病性品種ではさび菌に由来するが,抵抗性品種では宿主自身の合成促進に基づくと推定した。
著者関連情報
© 日本植物病理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top