群馬,神奈川,東京および愛知の4都県からクワ縮葉細菌病病原細菌10菌株および同ファージ4株を分離した。
病原細菌の細菌学的性質はSmithの記載とほぼ一致し,Pseudomonas mori (Boyer et Lambert) Stevensと同定した。従来未調査であった18種の炭水化物分解能は各菌株とも大部分の炭水化物について共通の結果を得たが,ラムノースおよびキシロースについては菌株間に差異を認めた。菌株S6807を抗原として作製した抗血清は,P. mori 10菌株に強い凝集反応を示したほか,P. tabaci, P. cichorii, P. striafaciens, P. phaseolicolaの各植物病原細菌に対しても反応した。
ファージはP. moriに対する寄生性,溶菌斑の形態から2群に分けられ,それぞれMP1, MP1hと命名した。両ファージともP. mori以外の供試したすべての細菌,すなわちPseudomonas属細菌18種,Xanthomonas属細菌8種,Erwinia属細菌2種,Corynebacterium属細菌1種,Bacillus属細菌3種,Escherichia属細菌1種に対してはまったく寄生性を示さず,種特異的であった。不活性化温度48°C,溶菌斑形成適温20-24°Cであった。形態は直径約55mμの多角体であり,きわめて短い尾部をもつようである。