日本植物病理学会報
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ヒシモンヨコバイによるクワ萎縮病の伝染に関する研究
I. 無毒虫の病原獲得について
石家 達爾松野 瑞彦
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1971 年 37 巻 2 号 p. 136-140

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抄録

クワ萎縮病の虫媒伝染機構を解明する目的で,本病の媒介昆虫の一つであるヒシモンヨコバイ(Hishimonus sellatus Uhler)について病原獲得に関する実験を行ない次の結果をえた。
1. 無毒虫が罹病クワ苗を吸汁する場合,病原獲得に要する最短期間は3時間であり,吸汁期間が長くなるほど伝染率は高まる傾向を示した。
2. 先端部だけに病徴がみられる罹病クワ苗では,その下部からでも,それが木化さえしていなければヒシモンヨコバイは病原を獲得することができた。また,罹病クワの外観健全にみえる新梢からも低率ながら病原は獲得された。
3. 無毒虫は,鉢植えの罹病クワ苗からだけでなく,シャーレ内に入れた罹病クワ新梢片からでも病原を獲得することができ,その獲得率は鉢植えの場合と大差なかった。
4. ヒシモンヨコバイの発育段階と病原獲得率との関係では,若虫においては令が進むにしたがって伝染率は高まったが,成虫では3令若虫よりは高いが5令若虫よりは低い結果を示した。
5. ヒシモンヨコバイの雌雄別の病原獲得率には一定の関係はみとめられなかった。
6. 罹病クワ苗吸汁時における明・暗によって病原獲得率は明らかな差はみとめられなかった。

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