日本植物病理学会報
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タバコモザイクウィルスの2系統間の干渉機構
紫外線照射タバコモザイクウィルスの影響
明田 功赤井 重恭
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1972 年 38 巻 5 号 p. 389-396

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抄録

タバコモザイクウィルスの普通株(TMV OM)と壊病株(TMV Nl)との間の干渉についての実験から次の結果が得られた。
インゲンマメ(平莢尺五寸)の葉上に形成されるTMV OMやTMV Nlによる局部病斑の数は紫外線照射TMV OM (UV TMV OM)やTMV OMの外被タンパク質あるいはUV TMV Nlを接種源に加えることにより減少した。
TMV OMとUV TMV OMとの混合液の沈降パターンはTMV OMまたはUV TMV OMのそれと同一であった。高濃度のUV TMV OMをTMV OMに加えるとTMV OMによる局部病斑の数は大きく減少したが,その混合液を希釈するとTMV OMの病原性は回復した。同様の病原性回復はTMV NlとUV TMV OMとの干渉の場合にも見出された。
タバコ(ブライトイエロー)の葉上ではTMV Nlは局部病斑を形成し,TMV OMは局部病斑を形成せず全身感染する。TMV Nlによる局部病斑の数はTMV OMの添加によって減少した。混合する前にTMV OMに紫外線を照射するとTMV Nlの局部病斑形成に対する干渉能は紫外線照射量に依存して一定程度まで低下したが,それ以上の線量では線量に関わりなく一定の干渉能を維持した。TMV OMにUV TMV OMを混合して接種した場合に接種葉中に形成されるTMV OMの量やTMV OMの感染性はTMV OMを単独で接種した場合よりも減少していた。
タバコにおいてもTMV OMの外被タンパク質はTMV Nlの局部病斑形成に干渉したが,その干渉能は紫外線照射の影響を受けなかった。
以上の結果をもとにして,UV TMVによるTMV病原性の阻害機構について若干の考察が加えられた。

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