日本植物病理学会報
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核果類のウイルス病に関する研究
第9報 モモひだ葉病
岸 国平我孫子 和雄高梨 和雄
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1973 年 39 巻 5 号 p. 373-380

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抄録

モモにひだ葉症状を示す未記録のウイルス性病害について実験,観察を行ない,次のような結果を得た。
1. 本病にかかったモモは,葉の裏面に細かいひだを生じ,葉が奇形化し,枝の節間がつまり,樹は萎縮して生育がわるい。
2. 罹病樹からは汁液伝染性ウイルスが検出され,このウイルスはC. quinoa, C. amaranticolor,ツルナ,ケイトウ,ゴマなど19種の植物に寄生性を示す。
3. 発病したC. quinoaとモモ実生とを呼接ぎすることによりもどし接種することができ,もどし接種を受けたモモは,原株と同じ典型的ひだ葉症状を示した。
4. 本ウイルスは球形,径約33nmであり,C. quinoaの葉汁液中の不活化温度は50-60C, 10分,希釈限界10-4-10-5,保存限界30-40日である。またアブラムシによって伝搬されず,土壌伝染も認められなかった。
5. 感染したC. quinoaを材料として調製した注射抗原を用い,1,280倍の力価をもった抗血清が得られた。この抗血清とAMV, CLRVおよびstrawberry latent ringspot virusとは反応せず,またRRSV, AMV, TBRVの抗血清と本ウイルスとも反応しなかった。
6. 以上の結果より本ウイルスを未記録の新ウイルスと認め,和名をモモひだ葉ウイルス,英名をpeach enation virusと命名した。

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