日本植物病理学会報
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疫病菌の軟化酵素について
1. Phytophthora capsiciの分泌する軟化酵素の特性
吉川 正明正子 朔桂 〓一
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1973 年 39 巻 5 号 p. 389-395

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抄録

1. P. capsiciの侵入によるキュウリ果実の軟腐病斑の拡大は組織中の菌糸の進展状態と密接な関係がある。すなわち菌糸は侵入後主として寄主細胞中層を進展し,のちに細胞中層および細胞内に高密度に蔓延しこの部位においてのみ外観的な軟腐症状を呈する。
2. 軟腐組織抽出液ならびに本菌培養液は植物組織切片に対し強い軟化作用を示した。ジャガイモ塊茎切片に対してはpH 6.2,キュウリ果実切片に対してはpH 7.0付近に最適pHを示した。
3. 軟腐組織抽出液はペクチン酸に対してはpH 6.2付近,ペクチンに対してはpH 6.5付近および7.0以上に最適pHをもつendo型活性を示した。このpH 7.0以上に認められる活性はendo-PMTEによるものと思われた。一方本菌の培養液にはペクチン酸に対してはpH 5および6.2付近に,またペクチンに対してはpH 3.5, 5.5, 6.5付近および7.0以上に最適pHをもつendo型活性が認められた。ペクチンに対するpH 7.0以上の活性は罹病組織抽出液に認められたのと同様にendo-PMTEによるものと思われた。またペクチン酸に対して最適pHを5.5付近にもつ1種のexo型活性が認められた。PME活性ならびにCx活性はほとんど認められなかった。
4. 罹病組織抽出液ならびに本菌の培養液はendo型ペクチン質分解酵素活性に較べて著しく高い植物組織切片に対する軟化作用を示し,またendo型ペクチン質分解酵素活性と植物組織切片に対する軟化力の間に必ずしも相関関係が認められなかった。

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