日本植物病理学会報
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ナシ黒斑病菌の宿主特異的作用機構 (III)
化学物質ならびに熱処理による毒素効果の減少
尾谷 浩西村 正暘甲元 啓介
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1974 年 40 巻 1 号 p. 59-66

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抄録

ナシ黒斑病菌の宿主特異的毒素は,感受性品種のナシ葉のみに,透過性の異常増大を引き起こし,その結果,ナシ葉は,葉脈に沿う特徴的な壊死斑を形成する。このような毒素による透過性の異常増大は,ナシ葉をあらかじめS-S結合還元剤処理することによって,ある程度抑制された。さらに,この抑制効果は,SH結合酸化剤処理によって完全に打消されるが,還元剤処理後にアルキル化剤処理すると,酸化剤処理の効果はみられなくなった。一方,感受性ナシ葉を,あらかじめ40Cで6分以上,あるいは55Cで2秒以上温湯処理すると,毒素による透過性の異常増大,さらに,壊死斑の形成は極端に抑えられた。この抑制効果は,33∼60Cの範囲の温度処理で常に認められた。なお,熱処理葉は,時間の経過とともに徐々に抑制効果を失ない,再びもとの感受性にもどることが認められた。以上の諸結果から,毒素作用の特異性に関与する因子は,感受性品種の側に存在し,抵抗性側には存在しないと推論できた。

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