1974 年 40 巻 4 号 p. 277-281
14CO2で処理したタバコモザイクウイルス(TMV)感染グルチノーザ葉から,14C-標識TMVを寒天ゲル濾過法で分離した。光合成によって同化された14CO2は有効に同葉内のTMVにとりこまれた。この方法を用いて,シトリニンのグルチノーザ葉内のTMV増殖に対する作用を検討した。接種直後から48時間,25ppmのシトリニンを処理したグルチノーザ葉上に形成された局部病斑数は無処理の1.4%で,同葉内で増殖した14C-標識TMVの放射能は無処理の20%に減少した。シトリニンは接種後24時間してから処理しても局部病斑形成を阻止したが,ウイルスの増殖に対しては主として感染初期に作用することが暗示された。