日本植物病理学会報
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べと病菌感染ダイコン葉表面の走査型電子顕微鏡像
白石 雅也坂本 和成浅田 泰次永谷 隆肥高 洋
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1975 年 41 巻 1 号 p. 24-32

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抄録

べと病菌の宿主葉への侵入方法,分生子梗および分生胞子形成,病斑部と健全部との表面構造の相違などを臨界点乾燥法を利用して走査電顕で観察した。本菌の成熟分生胞子の大きさは7×10μmで,表面にはいぼ状構造がある。本菌は気孔,表皮細胞ほう合部および角皮侵入の3種類の侵入方法をとる。接種後2日目では,分生胞子から発芽管,付着器などが形成される。2日目以後では,葉上の菌体諸器官は顕著に収縮した。これはそれらの内容物が侵入糸および組織内菌糸に移行したためと思われる。発芽管長は2~20μmであったが,その長短は気孔および角皮侵入の差に無関係であって,本菌のダイコン葉への侵入は,角皮侵入が多かった。分生子梗はすべて気孔から新生する。新生初期では,分生子梗の基部はほとんどくびれていないが,分生子梗の成熟に伴ってくびれが生ずる。新生初期の分生子梗の表面には波状構造がある。分生胞子は,分生子梗の先端がふくらんで形成される。形成初期の小型分生胞子と分生子梗の表面構造とはよく類似しており波状模様があるが,成熟したものでは前者にはいぼ状構造があるが,後者にはみられない。病斑部の気孔は健全部のそれにくらべて顕著に開いており,ワックス,角皮層のはく離,表皮細胞壁のしわなどが顕著であった。

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