日本植物病理学会報
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カンキツかいよう病菌Xanthomonas citri (Hasse) Dowsonの腐生的生存に関する研究
第1報 シバからのかいよう病菌の検出
後藤 正夫太田 光輝岡部 徳夫
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1975 年 41 巻 1 号 p. 9-14

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抄録

1. カンキッ園の通路に自生するシバおよび根圏土壌から年間を通じてX. citriを検出することができた。これらの菌株のファージ型構成は,A型が11菌株(38%), B型が13菌株(45%), C型が5菌株(17%)であった。いずれも菌濃度は低く,試料1gあたり103個以下の場合が多かった。
2. シバとその根圏土壌からのX. citriの検出頻度は季節的に異なり,冬期に高く,夏期に低い傾向がみられた。またファージ型は秋から冬にかけてAおよびC型が,春から夏にかけてB型が多く検出される傾向が認められた。
3. シバから分離されるファージ型を附近の罹病カンキツ上のそれと比較した結果,シバに近接した発病樹からの直接汚染とは限らないことが強く示唆された。そして,X. citriはシバおよび根圏土壌で長期間生存可能であると考えられた。
4. カンキツ園から600m程離れた場所のシバからもX. citriを分離することができたが,一般的にカンキツが栽培されていない地域では,シバからのX. citriの検出は認められなかった。

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