1976 年 42 巻 1 号 p. 7-11
イネごま葉枯病菌の2つの交配型の分布を調査した。子のう胞子分離株では,A, BとC, Dの両交配型の比率は約1:1であった。一方,西日本各地から1973年度に採集,単分生胞子分離した菌株のそれは35:49であった。野外における両交配型の分布は同所的であって,同一地点,同一イネ株,さらに同一病斑における両者の存在が確認された。単子のう胞子分離株の60%,野外からの単分生胞子分離株の64%は両性的であった。しかしながら残りの菌株は雌性能力を欠如していた。
米国産のHelminthosporium oryzae汚染イネ種子から分離した菌株およびHA-2菌株と,われわれが1972-1973年に分離した日本産のものとのかけ合わせを行なった。適切な組み合わせによって,成熟した子のう殻形成を認めた。したがって,両国のH. oryzaeの同一性が完全世代形成の面からも確認された。なお米国から送付された汚染種子から分離した菌株についても両交配型が同時に存在することも明らかにされた。