日本植物病理学会報
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オオムギうどんこ病にみられる熱誘導感受性の二相性について
大内 成志奥 八郎中林 英人岡 和徳
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1976 年 42 巻 2 号 p. 131-137

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抄録

オオムギ品種コビンカタギとH. spontaneum nigrumのもどし交配から得られたisogenic lineを用いて,うどんこ病感染成立におよぼす接種前熱処理効果について調べた。感染成立頻度,菌糸長,胞子形成などから,熱処理効果には三相が存在することが明らかになった。第一相は45C-45分処理で顕著な熱誘導感受性の相であって,この効果は処理後24時間位で消失する。第二相は50C-53Cの処理でみられる誘導感受性の不活性化の相である。第三相は55C-60秒にみられる誘導感受性の相であって,この相は肉眼的に認められるコロニーが形成される点で,第一相の誘導感受性とは質的に異なるものと考えられる。一旦誘導された感受性が不活化される第二相の速度論的解折から,熱誘導感受性の不活化は一次反応式にしたがい,したがって宿主細胞の病原菌受容または拒否はall-or-none形式で決定されると考えた。

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