1976 年 42 巻 2 号 p. 149-155
オーチャードグラス(Dactylis glomerata L.)において黒さび病菌夏胞子堆の形成が遺伝的に制御されている様相を3実験によって調べた。これら3実験を通じて,オーチャードグラスにおいては黒さび病菌の接種により,nulliplex (aaaa)個体には大型の夏胞子堆が形成され,また,simplex (Aaaa)個体には小型の夏胞子堆が形成された。しかし,duplex (AAaa)個体およびtriplexもしくはquadruplex (AAAaもしくはAAAA)個体には夏胞子堆が形成されなかった。したがって,オーチャードグラスにおいて黒さび病抵抗性は,抵抗性が優性な1対の遺伝子によって支配され四染色体的に伝えられるという従来の説が支持され,また,抵抗性遺伝子には蓄積の効果が認められた。同時に,黒さび病抵抗性の表現型から,遺伝子型を推定し得る可能性が開かれた。