日本植物病理学会報
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イネ紋枯病の上位進展経過と葉鞘内窒素・澱粉の量的変化
羽柴 輝良山口 富夫茂木 静夫
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1977 年 43 巻 1 号 p. 1-8

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抄録

出穂期の異なるイネ13品種を用い,イネ紋枯病の病斑の上位進展経過および進展様相を5ヶ年にわたって調査し,上位進展に関与する主要因の解析を行なった。
暦日上同一調査日における上位進展は早生>中生>晩生の順となる。同一品種でも植付時期を変えることにより出穂期が変り,上位進展度も変る。出穂期の異なるイネを播種日と田植日を変えて出穂期をほぼ同一とすると早生,中生,晩生種間の最上発病葉鞘位の差が著しく小さくなる。このことから,イネ紋枯病の上位進展は稲体の成分変化に依存していると推定した。
成分変化の要因解析の一方法として,葉鞘内窒素・澱粉の量的な変化と上位進展との関連について検討した。圃場において上位進展の早い早生種の澱粉含量は8月下旬5.0-21.2mg/1g生体重内にあり,この範囲では培養実験でも菌叢の生育に好適な含量に相当する。上位進展の遅い晩生種は澱粉含量が高く,24.7-32.2mg/1g生体重を示し,この含量の範囲では培養試験でも窒素量の増加によっても菌叢の生育を低下させ,早生種よりも菌叢の生育に不適である。同一品種の葉鞘内窒素・澱粉量の経時変化をみても,早生種は日数の経過と共に澱粉含量は急激に低下し,培養実験での良好な菌叢の生育を示す含量になるが,晩生種ではこの変化が緩慢である。このことから,イネ紋枯病の上位進展は葉鞘内窒素と澱粉の量的変化によって著しく影響されるかとも推定された。

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