日本植物病理学会報
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ナシ黒斑病菌胞子を接種した日本ナシ感受性品種の葉細胞における微細構造変化
朴 杓允
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1977 年 43 巻 1 号 p. 26-32

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抄録

Alternaria kikuchiana Tanakaの胞子を,感受性日本ナシ品種の葉の裏面に6時間と24時間接種し,その接種葉を,電子顕微鏡で観察した。接種6時間後,原形質膜の微細構造変化が,感染菌糸の見られない裏表皮細胞において最初の細胞内膜系の変化として現われた。原形質膜は細胞壁から離れ,細胞質の内側に深く突出,陥入した。この細胞壁と原形質膜の間の陥入部位では,ロマソーム様小胞,膜断片,不定形物質,plasmodesmaから突出したdesmotubuleが見られた。接種24時間後,え死細胞の細胞内小器官の膜系は,比較的もとの形態を保っていたが,細胞質の電子密度の増加のためネガティブな像を示した。偽原形質分離と原形質膜のやぶれが,激しく崩壊したえ死細胞で観察された。胞子を接種した葉細胞の微細構造変化は,AK-toxin処理した葉細胞のそれと酷似しており,それは発芽胞子の分泌するAK-toxinによることを暗示した。これらの結果は,感染初期における発芽胞子の分泌するAK-toxinの役割の重要性を示している。

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